本に対する異常なほどの情熱を感じる。この現代建築家コンセプト・シリーズの持ち味はそこにある、と思っている。若手建築家にとって纏って何かを発表できる数少ない場となっている。当然、作品は少なく巨匠や大作に比べると話題性は低いが1作1作に掛ける意欲は計り知れない。計画案が設計業務や施工といったフェーズに移行し完成に至るまでには長く苦しい道のりがある。独立間もない時期に1つのプロジェクトが頓挫してしまうと露頭に迷い込んでしまうし、出来た作品に不具合が出たり全く評価されないと次に繋がる架け橋を失ってしまう。そうやって育ててきた作品群を自らの言葉で紹介し編集もできるのはうれしい。毎回凝った造りで面白いが前作のCATにはその熱量を感じなかった。
日常の設計の日常 島田陽 LIXIL出版
TSUKASA WATANABE
更新日:2020年10月15日
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