変わったことが好きと言いつつ、好きなものには古いものが多い。建築は相変わらずカーンやバラガンが好きだし、文学は谷崎や吉行淳之介ばかり、音楽はコルトレーンを結局いつも聞いているし、河井寛次郎やイサム・ノグチに憧れ、車は古いベンツが好きだ。これらはみな、今では「古いもの」になっているが、当時は前衛であったし、大きな変革や流行りを生んだはず。さらに時間が経った今でも魅了する力があり、他の何かでは越えられない輝きがある。革新的でありながら、どんな時代でも色褪せない本質が存在する。ただ仮に、同時代に生き彼らの新作に触れていたらどういった反応をしたのだろう、と考えてしまう。これらの価値を理解できたであろうか。新しいものは手に入りやすく溢れかえっているため「普通」な気がしてしまうところがある。製品や情報の量に左右されてしまい、素直に向き合えないため反発する。今流行っていないものやマイナーなものを求める際に古いものに目が行くのが現状であろうか。(2013.11.29)
変わったこと、古いもの、好きなもの
TSUKASA WATANABE
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