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丹下健三を語る 初期から1970年代までの軌跡 槇文彦・神谷宏治編著 鹿島出版会

建築家の自伝や評伝よりも弟子たちが語る作家論は面白い。文豪の娘や孫が書き記した人物論のように虚飾や見栄がなく愛情の籠った語りなので親しみやすいのだろう。表題のごとく70年代までは作品自体の評価も高いので、その製作現場はスリリングで読みごたえがある。ただし勝手な印象論からいえ...

「孤風院」白書 住居に変身した明治の講堂 木島安史 住まいの図書館出版局

木島作品や人柄について生前交流のあった建主さんから飲みの席で熱く語られ、すっかり魅せられてしまった。その明け方にアマゾンで注文した3冊のうち1冊がこの孤風院白書である。木島さん本人や孤風院に対する魅力は尽きないが、なにより本の構成が良い。モノクロの写真が数枚続いたのち、4頁...

わかりやすさ

熊本で見てきた2つの建築は知り尽くした建築思想家が市民に伝えた建築の奥義であろう。ひとつは篠原一男の熊本北警察署。楠の美しい並木や白川公園に面しているからか思っていたよりも逆ピラミッド型のファサードが小さく感じられた。と同時に楠がミラーガラスにそっくり木型に映りこんで見えた...

書庫を建てる 1万冊の本を収める狭小住宅プロジェクト 松原隆一郎/堀部安嗣 新潮社

書庫建設に関する松原さんの連載記事に竣工後書き下ろされた堀部さんの文章が加わって一冊にまとめられている。そのため往復書簡といったスリリングな駆け引きは味わえないが、小さなプロジェクトの「起こり」を知ることができる。特に松原さんの赤裸々な出生の記述には恐れ入る。それらのバック...

変わったこと、古いもの、好きなもの

変わったことが好きと言いつつ、好きなものには古いものが多い。建築は相変わらずカーンやバラガンが好きだし、文学は谷崎や吉行淳之介ばかり、音楽はコルトレーンを結局いつも聞いているし、河井寛次郎やイサム・ノグチに憧れ、車は古いベンツが好きだ。これらはみな、今では「古いもの」になっ...

第2の人生

キャロライン・ケネディ日本大使の就任が話題である。ケネディ家はアメリカ本国でも相当人気があるらしく、皇族や華族のような存在とも言われている。父JFKは志半ばで暗殺されカリスマとなっている。季節がら、無念の死繋がりでいえば坂本龍馬も維新前に暗殺されている。有名無名を問わず、期...

形態デザイン講義 内藤廣 王国社

待ちに待った東大講義録3部作の完結編である。南陽堂に予約してサイン本を手に入れた。サインが大胆なローマ字斜体だったのには驚いた。内藤さんの過去の著作物はほぼ読んでいるが、平易な表現で本質を説き時代に警鐘を鳴らす姿勢は、建築同様一貫していて雑味がない。この東大講義録についても...

建設ドキュメント1988―イサム・ノグチとモエレ沼公園 川村純一 斉藤浩二 学芸出版社

モエレ沼公園には2006年に訪れたことがある。その雄大なランドフォームに感銘を受けた。反面、ベンチや屋外トイレ、手摺、水飲み場などといった通常あるものが無かったり、巧妙に隠されていたという事実はあまりにも「自然な」故に、本書を読むまでは気づかなかった。ノグチのマスタープラン...

住宅論 篠原一男 鹿島出版会

事務所務め時代、2度住宅設計に関わった。ひとつは入所したばかり、OZONEコンペからの住宅改修であった。未熟すぎて納まりが全く分かっていない状態だったが、若い夫婦はものともせずセルフビルドでカバーしてくれた。ローコストでありながら溌剌とした印象が残った。もうひとつはホンのこ...

PROCESS Architecture NO.4 ローレンス・ハルプリン プロセスアーキテクチュア

この本との出会いはローレンス・ハルプリンとの出会いでもあった。卒業設計製作中に板屋リョクさんに紹介してもらったと記憶している。すでに絶版で手に入りにくく大学図書館で全コピーした。 当時大学図書館で全コピーするのにはまっていてADA版のコルビュジエ全集もせっせと複写した。お手...

東京の橋 水辺の都市景観  伊東孝 鹿島出版会

墨田区菊川に住んでいた頃、愛犬ルイの散歩コースは2つあった。ひとつは猿江恩賜公園から横十間川を南下しリバーサイドから木場公園に入って、ドッグランで遊んでから大横川で帰ってくるコース。もうひとつは大横川、小名木川から清澄公園に向かい仙台掘川経由で木場公園に入って遊んで帰ってく...

破壊と廃棄と生産

10年以上前に学校の課題で破壊・廃棄・生産の関係について文章を書いた。ふとそんなことを思い出したのはNHK朝の連ドラ「あまちゃん」に触発されたからである。23週目にあたる今週、いよいよ東日本大震災「3.11」が描かれた。当時、東京でも岩手でもなく、金沢にいた僕は震災どころか...

建築巡礼35 ルイス・カーン建築への意志 松隈洋 丸善

書棚を数えるとルイス・カーンに関する本だけで40冊もあった。ほとんどマニアなので関連本が出ると大抵買ってしまう。その中でも頻繁に手に取るのが、この丸善の巡礼本である。A5版で、しかも薄いのでちょっと持ち出すのにとても便利で内容も驚くほど充実している。実現した14のプロジェク...

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