熊本
震災後はじめて訪れた。一見あまり変わっていないので安心したが、それゆえ問題が深刻なことに後に気づかされる。福岡から新幹線で熊本に入り熊本城前でストリートカーを降りる。GW中のため観光客が多く破損した天守や崩れ落ちた石垣を挙って写真を撮っていた。遺構を愛でる欧米人的で嫌な感じ...
日常の設計の日常 島田陽 LIXIL出版
本に対する異常なほどの情熱を感じる。この現代建築家コンセプト・シリーズの持ち味はそこにある、と思っている。若手建築家にとって纏って何かを発表できる数少ない場となっている。当然、作品は少なく巨匠や大作に比べると話題性は低いが1作1作に掛ける意欲は計り知れない。計画案が設計業務...
新年度
ある方の新年度の挨拶がとても良かった。今年度の僕の目標にも据えようと考えている。3つの目標を掲げていた。1つめは現状でのベストを尽くすこと。小学校でも言われそうな言葉かもしれないが奥深く忘れがち。施主は何を求めているのか、設計者はどのような方法を考えたのか。知識や経験が増し...
様式の上にあれ 村野藤吾著作選 鹿島出版会
初期の著作はとても読みづらかった。批判の矛先が理解できない状態でガミガミ怒られている感じ。同時代に生きて雑誌でふと見かけたら共感できるのだろうか。村野藤吾は震災大戦といった激動期の中でぶれずに思想を貫いた孤高の存在との先入観があった。本書は大正8年から昭和53年の著作が厳選...
建築から都市を、都市から建築を考える 槇文彦 聞き手 松隈洋 岩波書店
先日2つの新しい門出に立ち会う機会を得た。ひとつは後輩の結婚式。旧軽井沢のオープンな教会で式が行われ、披露宴も余計な祝辞や余興が無くアットホームな雰囲気で溌剌とした若い2人にふさわしい式であった。結婚と共に独立開業という人生の転機を力強い挨拶で締めくくりこちらも身が引き締ま...
家
学生の住宅課題の展示を見てきた。一見して妹島さんや藤本さんのような形態が目立った。プレゼンシートを読んだわけではないので早合点かもしれないが小さなボリュームが分棟形式でランダムに並んだり、積層されたり、もしくは緩やかなカーブをしたワンボリュームであったり。どれこもれも何とな...
日本建築思想史 磯崎新 聞き手 横手義洋 太田出版
21世紀も10年以上経過して近現代の建築史を俯瞰できる状況になったのであろうが、80過ぎの年寄がスラスラと固有名詞や時系列を間違うことなく会話できているのに違和感を感じるほどである。3年の歳月をかけてインタビューを重ねて編纂した結果であろうが論理的で挑発的な発言の端々はまさ...
建築の際 東京大学情報学環連続シンポジウムの記憶 平凡社
情報学環で学ぶ院生を中心に企画され2008年から2014年まで実施されてきたシンポジウムをコンパクトにまとめられた記録書。建築の周辺を単に論じる体ではなく建築起源や発展に関わる諸問題を議論するのが目的であろうが、各パネリストが自らの作品を延々紹介して本題に入る前に質疑を挟ん...
美術手帖vol.67 NO.1017 建てない建築家とつなぎ直す未来 美術出版社
この手の活動に興味がある。ただし地域再生や活性化といったキーワードには惹かれるのだが、まちづくり、ワークショップ、コミュニティ、ふれあいといった人情系に偏った方向に行くと共感できない。そもそも人付き合いが下手な性格ゆえかもしれないが、何故だろう。隣に住む方や愛犬の散歩でよく...
芸
初夢を見た。カンニング竹山がたった一人の人間を笑わせるために万人に嫌われる覚悟で生涯を掛けたコントに挑んでいるというものだ。ザキヤマだけはその壮大なプロジェクトに気づいているが知らないふりをしてバックアップを続ける。とても斬新で構成がしっかりしていたので目覚めた時の気持ちの...
カルテット
ジャズを聴き始めてから随分経つが聴いたことのあるアーティストは数少ない。一旦嵌まってしまうと全アルバム制覇を目指してしまう癖がある。脇目も振らずひたすら聞き続ける。ただマイルスのようにブート版を含めて600枚以上あるような巨人に出会ってしまうと抜け出すのが一苦労である。1年...